三男は、長男が勉強を始めると机へ向かい、兄に注意する親の口調までまねます。
良い習慣だけを選んで吸収するわけではありません。兄へ手本を背負わせず、三男自身の興味を見ながら、父親が家族の振る舞いを見直した記録です。
はじめに
長男が動き出すと、弟二人も動き出します。
長男が時間を確認して学習を始める。その姿を見て次男と三男も動き出す。三人が学ぶ日は、この流れがよく見られます。
ただし、三男がまねるのは良い習慣だけではありません。
兄たちに注意する場面があると、三男は親の口調で言います。
「○○! △△しちゃダメでしょ!」
いかにも三番目らしい言い方で、しかも内容はほとんど正論です。その姿に笑いながら、私は少し立ち止まりました。
三男は、兄だけでなく親もよく見ています。
今回は、三男が兄をまねる日常から、三兄弟の中で伝わるものを考えます。
結論
今のわが家では、三男のまねを急いで止める必要はないと考えています。
兄の姿が、学習や新しい遊びを始めるきっかけになっているからです。
一方で、「兄が良い手本になってくれる」と任せきりにはできません。三男は、親の口調や注意の仕方も取り込みます。
三男が何を見て、どう再現したのか。その姿を、家族全員の振る舞いを映す鏡として見ることです。
兄へ手本の役割を背負わせず、三男自身の興味も見落とさない。この二つを意識します。
わが家の状況
今回の主役は、三兄弟の末っ子である三男です。
三男は朝起きることが得意で、家庭学習にはタブレットを使っています。現時点では、紙教材を加えず、タブレットだけで取り組んでいます。
三人が学ぶ時間帯は、ほとんど同じです。
最初のきっかけをつくるのは長男です。長男が時間に気づいて学習を始めると、次男と三男もつられるように動き出します。
三男がゲームやYouTubeへ集中し、気づかない日もあります。そのときは、長男が三男へ声をかけてくれます。
三男には、魚や深海生物など、自分から繰り返し見たがるものもあります。味の好みも兄二人とは違い、肉を好まず、野菜を好みます。
一方、遊びや学びの始まりには、兄たちの影響がよく表れます。ただし、成長の速さを兄弟順だけで説明せず、実際に見えた場面を分けて考えます。
実際にやってみたこと
朝の家庭学習では、三人の開始時刻を細かくそろえていません。長男が始めると、弟二人も教材へ手を伸ばします。
三男が使うのはタブレットです。長男の難しい紙教材を、そのまま三男にも渡してはいません。
始めるきっかけは共有しても、取り組む内容までは同じにしない形です。
ところが三男は、タブレットの先取り学習を自分で進め、次男と同じ内容へ入っていたことがありました。
年齢別の「今日のミッション」と違い、先取りした内容は解説だけで理解するには難しそうでした。それでも進めていたことに、親の方が驚きました。
学習以外で目立つのが、注意するふりです。
三男は兄二人を観察し、注意した方がよいと感じると、「○○! △△しちゃダメでしょ!」と親の口調をまねます。
反論の余地がないほど正しいとき、兄たちは無視します。言い返せるときは、「三男も○○してるじゃん!」と返します。
学習以外でも、三男は兄たちの運動の動きや、ゲーム、YouTubeの楽しみ方をまねます。兄たちを日常の中で見ているため、長男が同じ年頃にはしなかったことも、当たり前のように試します。
能力の順位ではなく、最初から二人の見本がいる環境の違いも大きいと感じます。
心理学では、手本を見ることで行動が変わることを「観察学習」や「モデリング」と呼びます。大野木・伊藤・中澤(1987)「モデリング研究の最近の動向―日本の現状―」
わが家では、三男の日常を振り返って「見て覚えている」場面の多さに気づきました。
良かったこと
兄の存在が良い方向に働いているのは、始めるまでの壁が低くなることです。
長男が自然な合図になるため、弟二人も同じ空間へ集まりやすくなります。
また、三男には完成形だけでなく、兄が取り組む途中も見えます。
考える、間違える、やり直す。完成形だけでなく、その途中も同じ机にいると目に入ります。
先取り学習を自分で見つけ、次男と同じ内容へ進んだことにも驚きました。理解できたかとは分けて考えますが、自分から先へ進める行動は確認できました。
もう一つ良かったのは、三男のまねを通して親自身の姿を確認できたことです。
三男の口調を通して、普段の私たちの声や表情も振り返れます。
うまくいかなかったこと
三男は、親にとって都合のよい部分だけをまねるわけではありません。
ゲームやYouTubeへ集中すると、長男が学習を始めても気づきません。兄の姿がいつでも合図になるわけではなく、長男の声かけに頼る日もあります。
学習では、先取りページを一人で進めたものの、解説だけで理解するには難しい内容でした。進んだページ数と、本人が理解できたことは分けて見る必要があります。
長男の声かけが助けになる一方、「弟のお手本」として頼りすぎないようにします。疲れた日まで、弟のために始めてもらうつもりはありません。
三男についても、「兄のまねをする子」と決めると、本人の好みを見落とします。兄二人とは反対に、肉より野菜を好むような違いもあります。
まねは便利な学習の入口ですが、それだけで三男らしさを説明することはできませんでした。
改善したこと
わが家では、始める合図と、取り組む内容を分けて考えています。
長男が動くことは家族の合図になっても、三人へ同じ教材や同じ量は求めません。
長男はタブレットと難しい紙教材を使います。次男は受験準備の紙教材が少し増えました。三男は、今のところタブレットだけです。
同じ机に集まっても、中身はそれぞれに合わせます。
先取り学習は、親が隣で見られるときだけ進める形へ変えました。進むことを止めるのではなく、難しい説明を一緒に確認するためです。
親の注意をまねたときは、特別な声かけをしていません。三男の指摘はほとんど正しいため、親も同調することがあります。
小さな三男から正論を言われ、兄たちが黙る。このやり取りも、今のわが家の日常です。
そして、長男へ「弟のために手本になって」とは求めません。長男が自分のために続けた結果を、弟たちが見ているという順番を守りたいからです。

今日からできること
下の子が上の子をまねたとき、すぐに良い・悪いを決めず、次の五つを見てみます。
まねを見つけたときの5つの確認
- 何をまねたか
行動だけでなく、言葉、表情、始めるタイミングも見ます。 - 誰を見ていたか
兄だけでなく、親や周囲の大人が手本になった可能性も考えます。 - まねたあと何が起きたか
本人が楽しんだのか、兄が困ったのかまで確認します。 - 上の子へ負担をかけていないか
手本になることや、貸すことを兄へ強制しません。 - 本人から始めたこともあるか
まねた行動だけでなく、その子自身が選んだ興味も残します。
三男の行動を細かく分析し続ける必要はないと思っています。
気になる場面を一つ振り返るだけでも、家族の関わり方を見るきっかけになります。
こんな家庭におすすめ
三男の姿を振り返りながら、次のような悩みを持つ方へ届けたい記事です。
- 下の子が上の子の行動を何でもまねる
- 兄や姉が始めると、弟や妹も動き出す
- 良い習慣だけでなく、困る言葉まで広がっている
- 上の子へ手本になる役割を背負わせたくない
- 下の子自身の興味も大切にしたい
きょうだいの年齢差や関係は家庭ごとに違います。
まねを成長の証拠と決めつけず、わが家で起きた一例として読んでもらえたらうれしいです。
今後の目標
今後は、三男がまねたことだけでなく、兄二人と違う好みや、自分で見つけたものも短く記録します。
長男を見たのか。次男と遊ぶ中で覚えたのか。自分で見つけたのか。きっかけを分けて残します。
三男が注意の仕方を再現したときは、内容が正しいかだけでなく、私たちの口調が強くなっていなかったかも考えます。
兄の後ろをついていく時間と、三男が先頭になる時間。その両方を見つけることが目標です。
まとめ
わが家の三男は、兄たちをよく見ています。
長男が学習を始めると、次男と一緒に動き出します。気づかないときは、長男が声をかけてくれます。
一方、親が兄へ注意する姿を見れば、「○○! △△しちゃダメでしょ!」と口調までまねします。正論なら親も同調し、兄たちは黙るか言い返します。
三男のまねは、本人だけを直す材料ではなく、家族の普段を見直す材料になります。
先取り学習では、次男と同じ内容まで一人で進みました。ただ、難しい内容は親が見られるときだけ取り組む形に変えています。
兄がきっかけをつくっても、同じ結果は求めない。長男へ手本の役を背負わせない。三男自身の好みも見落とさない。
この三つを大切にしながら、三兄弟の中で何が伝わっていくのかを見守りたいと思います。
